• 原文为自购的「天気の子」@角川つばさ文庫
    新海誠(しんかいまこと) 作
    ちーこ 挿絵
  • 本文仅用于日语学习用途,请勿用于商业用途!

「天気の子」翻译

人物紹介(じんぶつしょうかい)

  1. 天野陽菜(あまのひな):帆高(ほだか)が出会った女の子。”祈る”と空を晴れにできる。
  2. 森嶋帆高(もりしまほだか):家出して、東京にやってきた高校生(こうこうせい)。
  3. 夏美(なつみ):須賀(すが)の事務所(じむしょ)で働く女子(じょし)大生(だいせい)。
  4. 須賀圭介(すがけいすけ):帆高を雇(やと)う小さな編集(へんしゅう)プロダクション(production)のライター(writer)。
  5. 天野渚(あまのなぎ):陽菜の弟(おとうと)。女子に人気の小学生(しょうがくせい)。

序章(じょしょう) 君に聞いた物語

三月(さんがつ)の雨空(あまぞら)に、フェリーの出港(しゅっこ)を知らせる汽笛(きてき)が長く響く。

在一个三月的雨天,预示着轮渡出港的汽笛声长鸣。

巨大(きょだい)な船体(せんたい)が海水(かいすい)を押しのけていく重い振動(しんどう)が、尻から全身(ぜんしん)に伝わってくる。

巨大的船体推开海水产生的剧烈震动,从屁股传向全身。

僕のチケットは船底(せんてい)に最(もっと)も近い二等船室(にとうせんしつ)。東京までは十時間以上(いじょう)の船旅(ふなたび)で、到着(とうちゃく)は夜になる。このフェリーで東京に向かうのは、人生で二度目だ。僕は立ち上げり、デッキテラスへの階段(かいだん)に向かう。

我的船票是离船底最近的二等房间。到东京是要十小时以上船旅的,到了的时候已经是晚上了。坐这班轮渡去往东京,已经是人生中的第二次了。我站起来,面向甲板的台阶。

「あいつには前科(ぜんか)があるらしい」とか、「今でも警察(けいさつ)に追(お)われているらしい」とか、僕が学校(がっこう)でそんな噂(うわさ)をされるようになたのは、二年半前の東京での出来事がきっかけだった。噂(うわさ)をされること自体(じたい)はどうということもなかったけれど(実際(じっさい)、噂(うわさ)になるのは当然(とうぜん)だったと思う)、僕はあの夏の東京での出来事を、島の誰にも話さなかった。断片的に語(かた)ったことはあるけれど、本当に大事なことは親にも友人(ゆうじん)にも警察(けいさつ)にも話さなかった。あの夏の出来事をまるごと抱えたまま、僕はもう一度東京に行くのだ。

「那个人好像有前科」、「好像现在还在被警察追查」什么的,我在学校被那样的传闻缠身,正是因为两年前在东京的变故。被传闲话这样的事,自己倒是觉得没什么大不了的(实际上,我认为会变成传闻也是当然的)。那个夏天在东京的事故,我对这个岛上的任何人都没提起过。虽然有过只言片语,但真正重要的事情我就算对父母、朋友还是警察都没提起过。因为背负着那个夏天的变故,我再一次前往东京了。

十八歳になった今、今度こそあの街に住むために。

已经18岁的现在,这次一定要为了住在那个街区。

もう一度あの人に会うために。

为了再一次和那个人相遇。

そのことを考えると、いつでも肋骨(ろっこつ)の内側(うちがわ)が熱を持つ。頬(ほお)がじわりと火照(ほて)る。早く海風(うみかぜ)に当たりたくて、僕は階段を登る足を速める。

考虑那个事情的话,不论何时肋骨的内侧都会(感觉)温热。脸颊一点点发烫。想要赶快感受海风,我加快脚步登上台阶。

デッキテラスに出ると、冷たい風が雨と共にどっと顔を打った。その全部を飲み込むようにして、僕は大きく息を吸い込む。風はまだ冷たいけれど、そこには春の気配(けはい)がたっぷりと含(ふく)まれている。ようやく高校を卒業(そつぎょう)したんだーーその実感(じっかん)が、遅(おく)れた通知(つうち)のように今さらに胸に届(とど)く。僕はデッキの手すりに肘(ひじ)を乗せ、遠ざかっていく島を眺(なが)め、風巻(しま)く空に目を移(うつ)す。視界の遥か彼方(かなた)まで、数(かぞ)え切れない雨粒(あまつぶ)が舞(ま)っている。

一从甲板阳台中出来,刺骨的寒风混合着雨点一下子打到我的脸上。像是要把他们全部吞下去一样,我大口吸气。虽然寒风依旧,那里面却包含着春的气息。终于高中毕业了啊——那个实感像是迟来的通知一样,现在才传达到我的心中。我靠在甲板的扶手上,眺望着远去的海岛,将视线移向刮着狂风的空中。直到视线的远方,数不清的雨点在(空中)飞舞。

その途端(とたん)ーーぞわりと、全身の肌(はだ)が粟立(あわだ)った。

正当这时——一阵寒颤,全身的汗毛都竖了起来。

まただ。思わずきつく目を閉じる。じっとしている僕の顔を雨が叩(たた)き、耳朶(じだ)には雨音(あまおと)が響き続ける。この二年半、雨は常(つね)にそこにあった。どんなに息を殺しても決(けっ)して消せない鼓動(こどう)のように。どんなに強く瞑(つむ)っても完全な闇(やみ)には出来ない瞼(まぶた)のように。どんなに静(しず)めても片時も沈黙(ちんもく)出来ない心のように。

还没到。禁不住紧紧闭上眼睛。雨点拍打着我一动不动的脸,耳中一直回响着雨点的声音。这两年半中,经常下雨。像是不论怎么屏住呼吸也绝对抹不掉的脉搏一样。像是不论如何紧闭双眼也不能做到完全黑暗的眼睑一样。像是不论如何镇静也练片刻沉默都做不到的心脏一样。

ゆっくりと息を吐(は)きながら、僕は目を開ける。

一边慢慢的吐气,我睁开了眼睛。

雨。

雨。

呼吸(こきゅう)をするようにうねる黒い海面に、雨が際限(さいげん)なく吸い込むまれていく。まるで空と海が共謀(きょうぼう)して、いたずらに海面を押し上げようとしているかのようだ。僕は怖くなる。身体(からだ)の奥底(おくそこ)から震(ふる)えが湧(わ)き上がってくる。引き裂かれそうになる。ばらばらになりそうになる。僕は手すりをぎゅっと掴(つか)む。鼻から深(ふか)く息を吸う。そしていつものように、あの人のことを思い出す。彼女の大きな瞳(ひとみ)や、よく動(うご)く表情(ひょうじょう)や、ころころ変わる声のトーンや、二つに結んだ長い髪を。そして、大丈夫だ、と思う。彼女がいる。東京で彼女が生きている。彼女がいる限(かぎ)り、僕はこの世界にしっかりと繋ぎ止められている。

雨被像是呼吸一样起伏的黑色的海面无限制地吸进去。完全是天空和大海的同谋,像是要没有意义的将海平面抬高一样。我开始感到害怕。恐惧从身体的深处涌了上来。像是要变得被撕裂一样。像是要变得破碎一样。我紧紧握住扶手。用鼻子深深地吸气。就这样像往常一样,回想起那个人。想起她的大眼睛、多变的表情、轻快转变的声调、扎成两束的长发。之后就会觉得没关系的。她还活着。她还在东京好好的生活着。只要她还活着,我就能和这个世界紧紧相连。

「ーーだから、泣かないで、帆高」

「——所以,别哭啊,帆高」

と、あの夜、彼女は言った。逃げ込んだ池袋(いけぶくろ)のホテル。天井(てんじょう)を叩(たた)く雨の音が、遠い太鼓(たいこ)のようだった。同じシャンプーの香りと、何もかもを許したような彼女の優し声と、闇に青白(あおじろ)く光る彼女の肌(はだ)。それらは余(あま)り鮮明(せんめい)で、僕は不図(ふと)、今(いま)も自分があの場所(ばしょ)にいるような気持ちに襲(おそ)われる。本当(ほんとう)の僕たちは今(いま)もあのホテルにいて、僕はたまたまのデジャヴ(dejavu)のように、未来の自分がフェリーに乗っている姿(すがた)を想像しただけなのではないか。昨日の卒業式もこのフェリーも全部錯覚(さっかく)で、本当の僕の隣にいて、世界はいつもと同じ姿のまま、変わらぬ日常が再開するのではないか。

那个晚上,她这么说道。逃进池袋的旅馆。拍打着天花板的雨声像是远处的太鼓(声)。同样的洗发水的香气、像是什么都原谅的她温柔的声音、在黑暗中显出苍白血色的她的肌肤。因为这些(场景)都太深刻了,突然之间,像是自己也在那个地方的感觉向我袭来。像是我们真的在那个旅馆一样,像是我偶然(脑中)出现了似曾相识感一样,这不只是我在想象未来的自己乘上轮渡的样子吗?昨天的毕业典礼和这个轮渡全都是错觉,实际上我的周围,实际还是和往常相同的的样子,改变不了的日常再次上演,难道不是吗?

汽笛(きてき)が鋭(するど)く鳴(な)った。

汽笛声尖锐的响起。

違う、そうじゃない。僕は手すりの鉄の感触(かんしょく)を確かめ、潮(しお)の匂いを確かめ、水平線(すいへいせん)に消えかかっている島影(しまかげ)を確かめる。そうじゃない、今はあの夜ではない。あれはもうずっと前のことだ。フェリーに揺られているこの自分が、今の本当の僕だ。きちんと考えよう。最初(さいしょ)から思い出そう。雨をにらみながら僕はそう思う。彼女に再会する前に、僕たちに起きたことを理解しておかなければ。いや、たとえ理解は出来なくても、せめて考え尽(つ)くさなければ。

不是的,不是这样的。我确认了扶手金属的触感,确认了海潮的味道,确认了眼看就要消失在水平线的海岛的样子。不是这样的,现在不是那个晚上了。那已经是很久以前的事情了。随着轮渡摇摆的自己,才是真正的我。好好的思考啊。从最初开始回忆。一边盯着雨点,我这么想着。和她再遇之前,必须要预先理解因为我们而起的事情。不不,比如说就算不能理解,也必须尽力考虑。

僕たちになにが起きたのか。僕たちはなにを選んだのか。そして僕は、これから彼女にどういう言葉(ことば)を届けるべきなのか。

因为我们而发生了什么是吗?我们选择了什么是吗?还有就是,我从这开始应该向她传递怎样的话语呢?

すべてのきっかけはーーそう、たぶんあの日だ。

所有的原因就是——对,大概就是那天了。

彼女が最初(さいしょ)にそれを目撃(もくげき)した日。彼女が語(かた)ってくれたあの日の出来事が、すべての始まりだったんだ。

她最开始目击到那个的日子。她对我讲述的那天偶然发生的事,是一切的开始(强烈解释性语气)。


彼女の母親は、もう何カ月も目を覚まさないままだったそうだ。

她的母亲好像已经好几个月一直没有醒过来了。

小さな病室(びょうしつ)を満(み)たしていたのは、バイタルモニター(vital monitor)の規則的(きそくてき)な電子音(でんしおん)と呼吸器(こきゅうき)のシューという動作音(どうさおん)と、執拗(しつよう)に窓をたたく雨音(あまおと)。それと、長く人の留(とど)まった病室に特有(とくゆう)の、世間(せけん)と切り離されたしんとした空気(くうき)。

生命检测器规律的电子声音、呼吸器“咻”的工作声音以及执拗的敲在窗户上的雨声充满了小小的病房。以及(病)人住了很久的病房特有的,与世隔绝的寂静气氛。

彼女はベッドサイドの丸椅子に座ったまま、すっかり骨張(ほねば)ってしまった母親の手をきゅっと握(にぎ)る。母親の酸素(さんそ)マスクが規則的(きそくてき)に白く濁(にご)るさまを眺(なが)め、ずっと伏(ふ)せられたままの睫毛(まつげ)を見つめる。不安に押しつぶされそうになりながら、彼女はただただ祈っている。お母(かあ)さんが目を覚ましますように。ピンチの時のヒーローみたいな風が力強(ちからづよ)く吹(ふ)きつけて、憂鬱(ゆううつ)とか心配とか雨雲(あまぐも)とか暗くて重い物をすっきりと吹き飛ばし、家族三人で、もう一度青空(あおぞら)の下を笑いながら歩けますように。

她一直坐在床边的圆凳上,紧紧的握着母亲已经(瘦弱到)完全皮包骨头的手。注视着母亲规律性被白色雾气笼罩的氧气面罩,紧盯着一直被垂下的睫毛。被不安(的情绪)压倒,她也唯有祈祷。母亲好像睁开了眼睛。紧急关头伴随着像是英雄一样的强风,将忧郁、担心、阴雨和黑暗沉重的心情一下子吹飞,为了一家三人能再一次在蓝天下笑着散步。

ふわり、と彼女の髪が揺られた。ぴちょん、と耳元で微(かす)かな水音が聞こえた。

她的头发轻柔地摇摆着。咚的一声,耳边听到了微弱的水声。

彼女は顔を上げる。閉(し)め切ったはずの窓(まど)のカーテンがかすかに揺れている。窓ガラス越しの空に、彼女の目は引き寄せられる。いつの間にか陽が射(さ)している。雨は相変わらず本降(ほんぶ)りだけど、雲に小さな隙間(すきま)が出来ていて、そこから伸(の)びた細(ほそ)い光が地上(ちじょう)お一点を照らしている。彼女は目を凝(こ)らす。視界の果てまで敷(し)き詰(つ)められた建物。そのうちの一つのビルの屋上(おくじょう)だけが、スポットライトを浴(あ)びた役者(やくしゃ)みたいにぽつんと光っている。

她仰着头。本应紧闭着的窗户的窗帘正微微地摇摆着。她的眼神被吸引到穿过窗户玻璃的天空上。不知何时,阳光照射了出来。虽然雨还是老样子下得很大,阳光却从云间的缝隙中钻出,并顺着这个缝隙延伸开来照在了地面上的一点。她聚精会神。视野的尽头被建筑物覆盖。只有那里面一座高楼的屋顶在孤零零的发光,就像沐浴在聚光灯下的演员。

誰かに呼ばれたかのように、気づけば彼女は病室から駆け出していた。

像是被谁呼唤着一样,不经意间,她已经从病房中跑了出去。

そこは廃ビルだった。周囲の建物はぴかぴかに真新しいのに、その雑居(ざっきょ)ビルだけは時間に取り残されたかのように茶色く朽(く)ちていた。「ビリヤード(billiard)」とか「金物店(かなものてん)」とか「鰻(うなぎ)」とか「麻雀(マージャン)」とか、錆(さ)び付いて色褪(いろあ)せた看板がビルの周囲にいくつも貼(は)り付いていた。ビニール傘越(がさご)しに見上げると、陽射しは確かにここの屋上(おくじょう)を照らしている。ビルの脇(わき)を覗(のぞ)くと小さな駐車場(ちゅうしゃじょう)になっていて、ぼろぼろに錆(さ)び付いた非常階段(ひじょうかいだん)が屋上まで伸びていた。

那是废弃的高楼。明明周围的建筑物都崭新到闪闪发光,只有那个杂堆中的高楼像是落后于时代一样在茶色中腐朽。有很多「台球馆」、「五金店」、「鳗鱼」、「麻将」这样的生锈褪色的看板贴在高楼的周围。透过塑料伞向上看,阳光确实正在照射着这里的屋顶。稍微看向高楼的周围,能看到一个面积不大的停车场,破损不堪的生锈的(百度翻译:锈蚀不堪的)紧急楼梯延伸到屋顶。

ーーまるで光の水たまりみたい。

简直就像是光的水塘。

階段を昇りきった彼女は、一時(いっとき)、眼前(がんぜん)の景色(けしき)に見とれた。

登上楼梯的她一时间被眼前的景色吸引住了。

手すりに囲(かこ)まれたその屋上(おくじょう)は二十五メートルプールのちょうど半分くらいの広さで、床(ゆか)のタイルはぼろぼろにひび割(わ)れ、一面緑の雑草(ざっそう)に覆(おお)われていた。その一番奥に茂(しげ)みに抱(だ)き抱(かか)えるようにして小さな鳥居(とりい)を真っ直ぐに照らしている。鳥居の朱色(あかいろ)が、陽射しのスポットライトの中で雨粒(あまつぶ)と一緒(いっしょ)にきらきらと輝いていた。雨に濁(にご)った世界の中で、そこだけが鮮(あざ)やかだった。

被扶手包围的屋顶差不多正好有25米游泳池的一半大,地板的瓷砖已经破损不堪出现裂纹,被一片绿色的杂草所覆盖。(阳光)直直的照射着那最深处像是被繁茂草木簇拥着的⛩(神社牌坊)。⛩(神社牌坊)的朱红色在阳光聚光灯束中和雨点一起闪闪发光。被雨点遮住的世界中,只有这里是鲜艳亮丽的。

ゆっくりと、彼女は鳥居に向かって屋上を歩いた。さくさくという柔(やわ)らかい音(おと)と心地(ここち)好い弾力(だんりょく)がある。雨のカーテンの向こうには、幾(いく)つもの高層(こうそう)ビルが白く霞(かす)んで立っている。何処(どこ)かに巣(す)があるのか、小鳥の囀(さえず)りがあたりに満ちている。そこに微かに、まるで別の世界から聞こえてくるような山手線(やまのてせん)の遠い音が混じっている。

慢慢的,她面向神社走在屋顶上。有沙沙的柔软的声音和令人舒服的弹性。雨帘的另一边,有几座高楼在白雾中矗立着。像是哪里有鸟巢一样,到处都是小鸟的啼叫。在那里,完全像是从别的世界传来山手线遥远的声音微弱的混杂(在小鸟的叫声中)。

傘を地面に置(お)いた。雨の冷たさが彼女の滑(なめ)らかな頬(ほお)を撫(な)でる。鳥居の奥には小さな石の祠(ほこら)があり、その周囲には紫色(むらさきいろ)の小さな花が茂(しげ)っていた。そこに埋もれるように、誰が置いたのか盆飾(ぽんかざ)りの精霊馬(しょうりょううま)が二体(にたい)あった。竹(たけ)籤(ひご)を刺したキュウリとように。ゆっくりと目を閉じ、願いながら鳥居を潜(くぐ)る。お母さんが目を覚まして、青空の下を一緒に歩けますように。

把伞放在地面上。雨的寒冷抚摸着她光滑的脸颊。神社的里面有一个石头(搭的)小祠堂,那(祠堂)周围紫色的小花繁茂(生长着)。在哪里埋没着一样,像是被谁放置(在那里)的装饰盂兰盆节的精灵马(一种祭祀用品)有两个。像是竹签刺入的黄瓜一样。慢慢闭上眼睛,一边许愿一边走过神社牌坊。为了能在母亲醒来之后一起走在蓝天之下。

鳥居を抜けると、不意(ふい)に空気が変わった。

穿过神社牌坊,不经意间气场改变了。

雨の音が、ぷつりと途切(とぎ)れた。

雨声,(像绳子一样)啪的一下中断了。

目を開くとーーそこは青空の真ん中だった。

张开双眼——这里是蓝天的正中央。

彼女は強い風に吹かれながら、空のずっと高い場所に浮(う)かんでいた。いや、風を切り裂(さ)いて落ちていた。聞いたこともないような低(ひく)くて深(ふか)い風の音が周囲に渦巻(うずま)いていた。息は吐くたびに白く凍(こお)り、濃紺(のうこん)の中でキラキラと瞬(またた)いた。それなのに、恐怖(きょうふ)はなかった。目覚(めざ)めたまま夢を見ているような奇妙な感覚(かんかく)だった。

她一边被强风吹拂,一边漂浮在空中相当高的地方。不对,是把风劈开向下落。从没听过的低沉深邃的风声在周围卷起漩涡。吐气冻成白雾,在深蓝(的天空)中闪闪发亮。就算如此,也并没有(感到)害怕。(而是)一直睁着眼睛做梦一样的奇妙感觉。

足元を見下(みお)ろすと、巨大(きょだい)なカリフラワーのような積乱雲(せきらんうん)が幾つも浮(う)かんでいた。一つ一つがきっと何(なん)キロメートルもの大きさの、それは壮麗(そうれい)な空の森のようだった。

看向脚下,几块巨大的菜花一样的积雨云漂浮着。每一个都一定有几公里那么大,那就像是壮丽的空中森林。

ふと、雲の色が変化していることに彼女は気付(きづ)いた。雲の頂上(ちょうじょう)、大気(たいき)の境目(さかいめ)で平らになっている平野(へいや)のような場所(ばしょ)に、ぽつりぽつりと緑が生まれ始めている。彼女は目を見張(みは)る。

突然,她注意到云的颜色正在变化。云的顶端,在大气的分界线处变得平坦的像平原一样的地方,绿色开始一点一点(墨水滴到纸上一样)生长。她惊讶的睁大了眼睛。

それは、まるで草原だった。地上からは決(けっ)して見えない雲の頭頂(とうちょう)に、さざめく緑が生まれては消えているのだ。そしてその周囲(しゅうい)に気付けば生き物のような微細(びさい)な何かが群(むら)がっている。

那简直就是草原。在从地面上绝对看不到的云的顶端,沙沙作响生长出来的绿色消失了。之后,稍微注意就会发现,在那周围有像是活物一样微小的什么东西在聚集。

「……魚?」

「……鱼?」

幾何学的(きかがくてき)な渦(うず)を描いてゆったりとうねるその群体(ぐんたい)は、まるで魚の群(む)れのように見えた。彼女は落下(らっか)しながら、じっとそれを見つめる。雲の上の平原(へいげん)を、無数(むすう)の魚たちが泳いでいるーー。

画着几何学漩涡顺畅蜿蜒的那个群体,不如说像是看到鱼群一样。她一边下落,一边聚精会神的盯着那个(鱼群)。无数的鱼正在云上的平原游泳。

突然、指先(ゆびさき)に何かが触れた。驚(おどろ)いて手を見る。やはり魚だ。透明な体(からだ)を持つ小さな魚たちが、重さのある風のように指や髪をすり抜けている。長いひれをなびかせているものや、くらげのように丸いものや、メダカのように細(こま)かなもの。様々な姿形(すがたかたち)の魚たちは、太陽の光を透(す)かしてプリズマみたいに輝いている。気付けば彼女は空の魚に囲(かこ)まれている。

突然,指尖碰到了什么。吓得(赶紧)看向手。果然是鱼。有着透明身体的小鱼们像是劲风一样穿过手指和头发。浮动着长鳍的东西,像是水母一样的圆的东西,像是青鳉鱼一样纤细的东西。各种各样形态的鱼透过阳光像棱镜一样发光。回过神来,她已经被空中的鱼包围起来。

空の青と、雲の白と、さざめく緑と、七色に輝く魚たち。彼女がいるのは、聞いたことも想像したこともない不思議で美しい更(さら)の世界だった。やがて彼女の足元を覆(おお)っていた雨雲(あまぐも)が解(ほど)けるように消えていき、眼下(がんか)にはどこまでも広がる東京の街並みが姿を現(あらわ)した。ビルの一つひとつ、車の一台(いちだい)いちだい、窓ガラスの一枚いちまいが、太陽を浴びて誇(ほこ)らしげに光っている。雨に洗(あら)われて生まれ変わったようなその街に、彼女は風に乗ってゆっくりと落ちていく。次第(しだい)に、不思議な一体感(いったいかん)が全身に満ちてくる。自分がこの世界の一部であることが、言葉以前(ことばいぜん)の感覚(かんかく)として彼女にはただ分かる。自分が風であり水であり、青であり白であり、心であり願いである。奇妙な幸せと切なさが全身に広がっていく。そしてゆっくりと、深く布団(ふとん)に沈み込むように意識が消えていくーー。

天空的蓝,云彩的白,喧嚣的绿,以及发出彩色光芒的鱼群。她所在的是闻所未闻、想所未想过的不可思议的美丽新世界。将将盖住她脚底的雨云像是解散一样消失了,眼下显现出的是向着各处伸展的东京的街道。一座座高楼,一台台汽车,一块块窗户玻璃在阳光的沐浴下自豪的发光。在这个被大雨洗刷后再生一般的街道上,她乘着风慢慢的落下来。(看到这个场景后)立刻,不可思议的一致感充满了全身。自己是这个世界的一部分,(这种)难以言表的感觉只有她能明白。风与水,青与白,心与愿都是我。奇妙的幸福感与苦闷传向全身。之后慢慢的,像是深深坠入被窝一样,意识消失了。


「あの景色。あの時私が見たものは全部夢だったのかもしれないけどーー」と、嘗(かつ)て彼女は僕に語(かた)った。

「那个风景。虽然当时我看到的东西说不定全部都是梦境。」,她曾经这样对我说。

でも、夢ではなかったのだ。僕たちは今ではそれを知っているし、僕たちはその後、ともに同じ景色を目の当たりにすることになる。誰も知らない空の世界を。

但是,那不是在梦中啊。我们现在是知道了这(件事),我们在那之后一起看到的一样的眼前的景色。(知道了)谁也不知道的空中世界。

彼女と共に過ごした、あの年の夏。

和她一起度过的,那年的夏天。

東京の空の上で僕たちは、世界の形を決定的(けっていてき)に変えてしまったのだ。

在东京的上空,我们不经意间让世界的形态发生了决定性的改变啊。

附录

仨礼拜我翻完了14页哈哈哈哈哈哈哈哈哈哈哈哈哈哈哈哈哈哈哈。我快吐了。

本书一共296页,预计共需要 $ \frac{296页}{14页/3周} = 63.43周 > 1年 $ 的时间。希望之后我能提速!

也可能放弃提速转向填充附录的单词注释?


喵喵喵?